以前渡辺千賀さんのBlogで”教えてPlease:日米間のインターネットの速さ”というエントリーがあり、日米間でのインターネットでどのくらいの帯域が出るのか?という質問があった。いつも見させていただいている御礼も兼ねて、1セッションあたり実効値4〜5Mぐらいだと書いてみた。
その後のエントリーとして
”アメリカのビジネス用インターネットの値段”で、アメリカのビジネス用インターネットの値段が話題があった。
読んでみてちょっと違和感を感じたので、何が違和感なのか考えてみる。
まず、日本のインターネット専用線の料金体系だが、昔は帯域に対する料金をプロバイダーに払って、プロバイダーまでの専用線の利用料金をNTTに払っていた。(郵政の指導によるNTTダークファイバーの開放からは安くなったような気がするが、それまではNTTに払う料金がべらぼーに高かった気がする)
というわけで、日本では、プロバイダーが提示してくる料金は帯域を買う値段であって、総額ではないことが多かった。そして、物理的な回線を手配できるのはいわゆる通信キャリアしかない。ので、自然と総額を提示できるISPはキャリア系に絞られてくる。というのが前提。
日本のインターネットの値段(回線+帯域)をGoogle様に聞いてみた。(あまりWebに料金が開示されていないのでサンプルが少ないのはご了承いただきたい)
と、PowerdComのページが引っかかってきたのでこれを参考にする。
1Mで20万円から。10Mで50万円。
実は低い帯域はMあたり単価が高い。帯域が低ければ低いほど諸々のオーバーヘッドが大きいからだ。(1Mだろうが1Gだろうが、物理的な回線を占有する点では一緒。とかね。)
渡辺さんのエントリーでは
まず、スピード。数十人のオフィスまではT1一本、というのが普通。T1は、1.5Mの専用線。相場は、月500-800ドル、というところ。
もっと速くしたい場合、T1をダブル、トリプルと増やします。これがbonded T1。ダブル・3Mで、月1500-1700ドルくらい。(T1を別々に2本引くより高くなります。)
日本の「ベストエフォート100M」に似たものが欲しい場合、burstableという選択肢があります。ある速さまでは基本料金に含まれ、それ以上のデータ負荷が生じる(burstする)と、その分だけ従量課金。高いです。たとえば、とある会社の「ベース12Mで45Mまでバースト可能」というので、基本料金が月4000ドル弱、加えて1Mあたり100ドル強の従量課金。場所によっては、もう少しリーズナブルなburstableなのがあることもあります。ベースが数百Kで数メガまでいけるというので月数百ドルとか。
PowerdComは安くないイメージがあるので、高い側にあわせてみると
アメリカ:1.5Mで$800 1Mあたり約$533
日本:1Mで約20万円
アメリカ:ベース12Mで$4000 1Mあたり約$333
日本:10Mで約50万円 1Mあたり5万円
実は日本のほうが高い…
アメリカでburstableを契約した場合、超過は1Mあたり$100強。
日本でburstableにした場合は、幅はあるけど1万5千円〜3万円ぐらいが今の相場ですかねぇ。
もっと大きな帯域を使う場合は、バイアスである専用線やダークファイバー、ネットワーク機器の価格の影響が少なくなるので1Mあたりの単価は下がってくるのだが、そうなるともっと差は顕著になり。
個人的な狭い経験の中での話ですが、同程度のクォリティの場合
日本の1Mあたり単価×0.6≒アメリカの単価
ぐらいかな。
注意しなくてはいけない点として、Comcastや、日本のADSL等とビジネス向けインターネット接続料金を比べてはいけません。
日本では故電電公社様の影響で電話サービスが限りなくオーバースペックだった。
例えば日本国内で電話をかけると、電電公社様内のネットワーク内では別々の経路を通った2つの回線が確保され、常に完全バックアップの状態で通話が行われていたと記憶している。途中経路で回線断が起こっても、バックアップ系に切り替わるので通話は切れない。少なくともISDNの時代まではこの網構成で運用してたはず。今はどうか知らないけど。
また、日本の会社には文句をつけることだけが仕事のような心がハゲてしまったおっさんどもがウヨウヨ生息しているので、なにか落ち度でもあろうことなら、「機会損失分の補償をしろ!」などと鬱陶しい攻撃を長期間にわたって受けることとなる。なんとしてでもサービス断があってはいけないのです。
かたやインターネットは「届かなかったり途中で壊れたりしたら再送すれば良いじゃん」という非常にアメリカ人らしいロジックの元に成り立っており、日本の通信網の「届かないなんてことはまかりならん!」という高価なサービスとは真逆。
でも、インターネット初期にはその高価なサービスを使うしか方法が無かった為、”届かなかったら適当に何とかするプロトコル”を”絶対落ちてはいけない高価な通信網”に乗せて提供されていた。今でもその負の遺産は価格に影響を与えていると思う。
(もっと身近な家電で例えるなら、プラズマTVの開発費をかけ過ぎちゃったために、大型TVの単価を下げてしまうであろうリアプロジェクションTVを日本では積極的に展開せずに価格を維持しようとしている日系家電各社の状況のようなものとでも言おうか)
日本の企業向けサービスが高価なのは主にこの”心のハゲ”サポート費用の積み重ねのせいだと思う。随所で発生するコストが積もり積もって高くなるのではないかと。
かたやアメリカでも程度の差こそあれ、謝ったら負けと思っている人が多い国でもあるので、プロバイダーに落ち度があった場合は返金なりなんなりの対応は必要になってくると思われる。
信頼性を上げようとすれば当然高くなる。
一方、日米問わずユーザー向けのCATV-ISPやADSL-ISP、光ファイバーISPは、帯域の保障はしない。通常、瞬断〜数十分程度であればつながらなくても返金はしない。
日本の結構な数のブロードバンドプロバイダーは、何らかの帯域制限をトラフィック流しっぱなりのヘビーユーザーにかけている。
自然と料金は変わってくる。
100Mで7千円ほどと、アメリカよりも一般向けブロードバンドが圧倒的に安い日本だけど、同じ帯域をビジネス向け回線で借りると余裕で百万円は超えて、下手すると四捨五入して二百万ぐらいになる。
当然、つながらないことがあってもかまわないとかリスクをわかった上で100M7千円のサービスを受ける分には何の問題も無い。100Mは絶対に出ないけど(笑)
でもネットワークサービス向けのサーバーをComcastやSBC-ADSL、NTTフレッツに置くわけには行かないでしょう。いつ落ちるかわからないし、規約でサーバー設置を制限してたりもするし。
ちなみに、シリコンバレー近辺に引っ越してきてから家に引いたYahooSBCのADSLは、デフォルトで外向けのPort25(SMTP)が塞がれていて、宅内にメールサーバーを設置しても動かず、外部のメールサーバーにもつながらず。
外部に置いてあるサーバーと宅内のパケットを見比べてみてやっとパケットが捨てられていることがわかった。
SBCのFAQ読んだら”塞いであります。”と書いてあってガックリ。数時間の無駄な作業をしてしまった…
サポートフォームで文句を言ったらすぐに開けてくれたが。
話を戻すと、比べちゃいけないんです。
IBMやSunの超高価な巨大冷蔵庫とFry’sで売ってる$200のPCを比べているようなものです(笑)
CPU単体だけで比べたらIBMのPowerやSunで使ってるSparcよりも、OpteronやPentium4の方が早いんです。っていうのと同じようなもの?かな?ちょっとちがうか。
ここでアメリカと日本のインターネットの料金の違いがどこから来るかについてちょっと憶測。
まず、総じてアメリカのインフラのコストは日本に比べてとても安い。と思う。
引っ越してくる前は、カリフォルニアでは政策の失敗で信頼性が低い電力網と高額な料金と聞いていたが、来てみればぜんぜん高くない。軽く3〜4倍は日本のほうが高いのではないか?信頼性はともかくとして。
で、これとインターネットの何が関係あるのかというと、Ciscoをはじめとする著名なインターネット機器メーカー、サーバーベンダーはアメリカ企業が多い。
どうもですね、アメリカ設計の機器は、無闇にでかくて無駄飯喰らいが多いわけですよ。
インフラコストが安いから誰も気にしないんですかねぇ?
これが何に影響するかというと、日本のインターネット企業も軒並みアメリカ製品を導入しているんだけど、場所代と電気代が高いから運用費が高くなる。
データセンターに機器を置いても、電源が足りなくて、床強度が足りなくてラックがスカスカ。とかザラ。
最近、大手町が東京で最高気温を記録することが多い気がするが、なぜかというと大手町は日本一のデータセンター密集地だから。という説がまことしやかに囁かれている。
IntelベースのサーバーをPowerPCや他の電力消費が少ないサーバーに変えるだけで、大手町の気温が数度下がるのではないか?という噂もあるくらい(笑)
閑話休題、つまり、アメリカに比べ日本は、人件費は同程度かちょっと安め、場所代が高い。電気代が高い。ひいては空調費が高い。場所代が高いから、高い建物を作りたくなって、耐荷重が低くなる。機器の充填効率が低くなって余計に場所代がかかる。悪循環。
アメリカは、土地は余り放題。電気代安い。平屋なら耐荷重高くできる。充填効率も高くなる。のではないかなあと思う。
ついでにと言ってしまっては失礼ですが、渡辺さんのエントリーにリンクがある四元さんのエントリーも読んでみた。
RTT=120ms時の最大帯域は1.03Mになるそうな。
う〜ん。自分のところの実績値と違う結果だったのでちょっと調べてみた。
例によってGoogle様にお伺いを立てると。
Windows XPは最初のRWINは16KByteと通知するが、MS特製の謎のアルゴリズムによって通信中に最大64KByteまで拡大するらしい。
なのでこの場合の最大値はTCP1セッションあたり4倍の4.12Mbに成るのではないかと。(当然送出側が十分な能力を持っていることが前提だけど)
この数字なら自分の実測値に近い。
いかがでしょ?
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すいません、すごい昔にトラックバックもらってました・;-p
>Comcastや、日本のADSL等とビジネス向けインターネット接続料金を比べてはいけません。
品質は確かに違うかもしれないんですけど、でも、たとえば10人とか20人のオフィスなんかだったら専用線なんていらない!!っていうことって多々あると思うんです。別にサーバーおく必要もなくて、どこかのホスティングサービスで十分とか。だけど、アメリカだと、DSLの次がいきなりT1になっちゃうところが日本と比べて困りもの。
でも、こういう
「フツーの人(や会社)でも手が出るお手ごろ価格で割とよい品質のものがない」
って、アメリカではなんでもそうですね。通信に限らず、洋服やインテリアなど。
カリフォルニアの電気代高い、についてはおっしゃるとおり
「なに言ってまんねん」
です。最近ガス代で大騒ぎですが、まだまだ安い!この際1ガロン5ドルくらいにしたらアメリカ人ももう少し地球に優しくなると思うんですが。
>だけど、アメリカだと、DSLの次がいきなりT1になっちゃうところが日本と比べて困りもの。
そうですねぇ、企業からふんだくる為に多分わざとそうしているのではないかと邪推してみたくなります;-)
>「フツーの人(や会社)でも手が出るお手ごろ価格で割とよい品質のものがない」
>って、アメリカではなんでもそうですね。通信に限らず、洋服やインテリアなど。
そうですねぇ、Paul Grahamさんが書いたHackers and Paintersって言う本に、「アメリカ人はとりあえず動くようにするところまでは早いが、本質的な改良を続けていくことが出来ない性質だ。」というようなことが書いてありました。
アメリカに来るまで理解していませんでしたが、なるほど。って感じですね。
すべてにおいて適用できる言葉ですね(^^;
以前日本でアメリカ人に、”どの向きお札を入れても認識する自動販売機”や、”切符を横向きや裏返し、果ては2枚同時に入れても認識する自動改札”等を見せたらびっくりしてました。アメリカではありえない機械です。
>です。最近ガス代で大騒ぎですが、まだまだ安い!この際1ガロン5ドルくらいにしたらアメリカ人ももう少し地球に優しくなると思うんですが。
同感です。アメリカ人、地球に優しくないですねぇ。無駄遣いさせたら右に出るものはないですもんね。
ボランティアが大好きでしょっちゅう寄付やらなんやらしてる割には、食べ物は平気でバンバン捨てるという。矛盾してると考えるのは日本人だけなんですかね?