書評の最近のブログ記事

今月はどうにも忙しくて中々更新できない。ネタが無い訳ではないんだけどね。

そうそう、今日、なんとは無しに本屋をぶらぶらしていたら落語は最高のエンターテインメント―見る読む落語入門という本が置いてあった。作者は立川志らく。2500円(税抜き)と少々高めだが、DVD付きらしいので、中身もよく確かめずに買ってみた。
中身は小説仕立ての落語。本来落語家が己の芸で見せなければならない各種描写を小説という手法で表現している。
これはこれで面白い。
芸が未熟な落語家の噺を聞いても全く人物も情景も描写されないので、落語の面白さが伝わらないばかりか、つまらないものという印象を与えてしまうのも事実。
読み物として普通に面白いので、落語入門としてどうぞ。落語マニアの方には、落語の構成法入門としてどうぞ。(志らくの解釈の好き嫌いはあるにしても、この分解して再構成するという手間を省いている落語家が多いこともわかるだろう)

また、DVDには地口(ナレーション)たっぷりの文七元結が収録されていて、意図は「落語家が落語を語らずに落語を表現する。」要は文七元結のあらすじと見所を語る芸が収録されている。
志らくの生の高座は真打ち披露興行以来みていないので今の芸は知らないが、また志らくの落語を聞いてみようかなと思わせる本だった。

ウケる技術という本がある。
前からその存在は知っていたが、「この本はちょっとやばい」で書かれているのを見て無性にツッコミたくなった。別段読まなくてもツッコめるとは思うが、読まずにツッコむのは失礼だろうと思いちゃんと購入した。これで心おきなくツッコめるってもんだ。
分析は良い、よくぞパターン分けできている。

写真にツッコむのは往年の一人ごっつのようでそこそこおもしろい。

大雑把な文意は。
●「ウケる」能力とは、センス、才能ではない。「ウケる人」の会話は誰でもマネすることができる有限のパターンの組み合わせに分解できる。
●コミュニケーションとはアドリブである。ウケる技術とはアドリブの転がし方である。具体的には得意パターンを核とした、スキルに裏打ちされたアドリブを展開する技術である。
●コミュニケーションとはサービスである。
●ツッコミとは「相手の発言のおもしろさに気づいて拾う」こと
●「気遣い」と「踏み込み」この2つが高いバランスで機能していること。
●コミュニケーションとは「プロレス」である。やりっぱなし、やられっぱなしはルール違反。
●チューニング力が重要

センス、才能によるものではないと否定しておきながら、バランス感覚やチューニング力を要求することは矛盾してないかい?
コミュニケーションとは「プロレス」であるって。じゃあ前提条件として「プロレス心」が理解できなきゃだめじゃん。
「コミュニケーションとはサービス」詭弁だなぁ。あなたたちは他人を楽しませるためでなく、自分が面白いからやってるんじゃないのかい?

ほかの突っ込みとしては、この「韻」という技術を解説している部分。

「韻」述語をそろえて退避させる。例)子供が柱に印を付けて背を測っている写真を見て「伸びてる!学力は伸びてないけど、背は伸びてる!」
A:おまえ、ホント頭悪いな。
B:顔も悪いけどね。
…これ、韻踏んでるか?それともツッコんで欲しいが故のボケなのか?

全般に言えることとして、本文中でも断りを入れてはいるが例文がイタい。そんなにシャレのわかる上司や女の子ばっかりだったらこっちがおもしろくしてやる必要ねえだろ。
また、キャラが描き分けられていない。どの例文に出てくる人物も同じ人間に見える。
せっかくの分析なのに例題の不出来が足を引っ張ってる。
女キャラが何かっちゅうと「超ウケんだけど!」こんなコト言う女が目の前にいたら殴るね。人としてイタい。

尻すぼみ。後半の3分の1は前半ほどのテンションが感じられない。

まあ、ツッコミはツッコミとしていい本だとは思う。1500円もするからこんなに突っ込みたくなるのであって、1000円切っていれば満足だったであろうとは思う(笑)
読後に日々の自分の周囲の会話の分析、漫才や落語、お笑い芸人の会話を分析をしたくなる。それはそれで面白い。

最後に。足りないものがひとつある。
文中にも相手の反応を見て調整しろとは書いてあるし、作者も当然知っていることであろうが相手によってシャレの通じる範囲は違うのだ。
だからこの38の技術にも、ほぼ万人に通じるモノと人を選ぶモノとがある。その優先順位を考えないとこの本を読んで実践する際に大きな障害となるであろう。googleで検索結果や、Amazonの書評を見ると、この本を参考にしようという人も多いみたいだ。付け焼刃は危険である。この優先順位リストが付いていればもっと実践的な本となれたであろう。

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